手作り味噌生活05 樽置き場の悩み解消

味噌を手作りしたくても、樽の置き場を考えると躊躇してしまう方も多いと思います。手軽なサイズの琺瑯や陶器で作るのも良いのですが、昔ながらの木樽で作った味噌は、ほんのり木の香りがする手作りならではの良さがあり格別です。わが家も木樽の置き場所で悩み試行錯誤を繰り返しながら、ようやく美味しい味噌に辿り着きました。どのようにして作っているのか、お伝えしたいと思います。

 

目次

置き場のポイント

置き場所のポイントは、風通しが良く、1年を通して温度差が少ない場所です。しかし、密閉性が高い現代の住居ではこの条件に合った場所はそう簡単にありません。9年間作り続けていますが、わが家は集合住宅のため、床下などが無く、試行錯誤を繰り返しています。一年後の出来上がりを見ながら、次の年を見直していくこともあります。

  • 大豆を潰すときに温度が下がり過ぎないように温めなおす
  • 発酵が偏らないように麹と塩の混ぜ方を丁寧にする
  • カビと産膜酵母の防止用の塩を増やす

初めて作った時も集合住宅でしたが、玄関ポーチがあり一年中薄暗く風通しが良かった為、環境で悩まずに作る事が出来ました。定期的に清掃が入るので椅子の高さの台に載せるぐらいで、あとは放置していても沢山のカビや酵母に悩まされる事も無く、簡単に美味しく甘みがある自分好みの味噌が作れました。

ところが、今の住居に移ってからは、玄関ポーチは無く、ベランダは南向きなので温度が上がり過ぎてしまいます。家の中に置かざるを得なくなり、今までのようには出来なくなりました。多くの方が同じように悩まれているのではないでしょうか。

 

玄関に置く

それで、よく見かけるのは台所やシンク下ですが、風通しが悪くカビてしまわないか気になります。仕方がなく温度が低めの北側の玄関に置くことにしました。

中々の存在感ですが、来客の際には移動させる事にするとして、ここに置くしかありません。さらに、一年中窓を開けて、風向きに合わせ、移動もさせてる事にしました。幸い小窓がある家なので、防犯上の問題はなく年中開けたままに出来ます。冬は寒がりの人には厳しいかもしれません。移動にはキャスター付きの植木台が便利です。すのこなら風通しも良くなり一石二鳥です。

 

風通し良く。小窓があれば一年中開けられる

 

発酵が上手くいかない

それでも充分な環境とはいえず、引っ越した最初の年は発酵が偏り塩気が強く硬めの味噌が出来ました。理想としている味噌は、滑らかで甘味のある味噌なので、上手くいったとは言えない年でした。甘味を出したいならば、塩を減らす方法もありますが、カビが増えそうなので今まで通りで作る事にしました。 

このことから、次の年は均一に発酵させる為の工夫をしました。混ぜる頻度を3カ月毎から1カ月毎に変えてみました。今までより少しだけ手間が掛かりましたが、その年は出来が良く、前の年より旨味が増した味噌が完成しました。

今年はこの方法で毎月混ぜています。7月現在、今のところは発酵の具合も丁度良く、だいぶ滑らかになってきています。色も薄過ぎず濃すぎず、山吹色くらいの濃さで、順調に発酵しているようです。

置き場が最適でなくても、あきらめずに、工夫するとちゃんと味噌になる作り易さも味噌作りの良いところです。

 

まとめ

初めて作った年が想像以上に順調に熟成し、自分好みに出来たので、今に繋がっているのは間違いありません。都会でも味噌作りに恵まれた環境だったので初心者でも美味しく作る事が出来ました。

今は毎月混ぜている分、手間はかかっていますが、毎月の熟成具合がみられるので楽しみになりました。そして、味噌作りは木樽で作って大正解でした。カビが生えにくく、まろやかで深みのある味にしてくれます。置き場に困る人ほど使ってほしいアイテムです。最近は小さな木樽もあり、より手軽に作れるようになったので挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

 

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手作り味噌生活04 樽出し

 

天地返し2回目

7月 1回目の天地返しをしてから3か月2回目の天地返しをします。

気温も上がり発酵が一気に進み、味噌らしくなってきますが、味は大豆の味が強く、麹の粒も残っています。硬さもまだあり、少しぼそぼそした食感になります。お好みでこの時に樽出しをすることもできます。塩気が強めですが、きな粉のような味わいで、お菓子作りに合いそうです。

そして、時には「たまり」が出来る場合があります。

表面に水分が浮き、醤油のように見えますが、醤油の材料は、大豆、小麦、塩に対し、味噌たまりは、大豆、麹、塩なので醤油にはあたりません。必ずできるわけではなく、条件もはっきりとは言えないのですが、出来た時は醤油代わりに使う事もできます。醤油よりコクがあるように感じます。ほとんどの場合、天地返しで混ぜ込んでいます。水分がなくても発酵が進まないので、元あった物を戻してあげるように混ぜ込んでいます。

この作業を9月、12月、繰り返し、1月大寒あたりに完成。いよいよ樽から出し、そのまま再び仕込みを始めます。

 

樽出し

待ちに待った樽出しですが、その前にカビや酵母が混ざらないように樽の内側と縁をキッチンペーパーで拭いてから行っています。カビが生えている場合は、残ってしまわないように、周辺も含めて思い切りよく取る事にしています。それから、カビと腐敗防止に載せていた酒粕を取り出します。酒粕も捨てずに、料理に使えるので、清潔な容器に入れます。酒粕を取り出した後、最後によく混ぜ、味を均一にしてから樽出しをします。

そして、また来年のために仕込みをします。樽は洗わずにそのまま使っています。以前は洗って乾かしてから次を仕込んでいましたが、洗わず使った時の方がカビや酵母が少なかった為、これが今のやり方になりました。毎年これを繰り返しています。

 

味わう

その年によって、豆の味が濃く甘さが際立つ年もあれば、酸味があり濃い味になることもあります。このようにして毎年少し違う味を楽しむことが出来るのですが、木樽に漬けたことで、いつも同じ独特の香りを味わうことが出来ます。みそ汁はもちろんのこと、野菜スティックのディップとしても美味しく香りがくせになります。その時の気分で、他の味噌と混ぜて使う事もあります。

カビと腐敗防止に載せていた酒粕も料理に使う事が出来ます。たまりを吸って茶色く味噌のような見た目になります。この酒粕で肉や魚を漬け込み焼くと味噌の風味と樽の香りで一味違う粕漬けが出来上がります。みそ汁に少量溶かして粕汁も楽しめます。

毎年違った味わいに仕上がるところが手作り味噌ならではです。来年はどうなるのか楽しみです。

 

 

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手作り味噌生活03 天地返し

 

仕込みから3カ月

5月 仕込みから3か月、発酵を均一にし、カビを生えにくくするため、混ぜる作業をします。ムラなく丁寧に混ぜる事が大切です。

その前に、カビが生えていないか、酵母菌がついていないか、表面と樽のふちなどをよく確認します。カビや酵母がついていると白っぽくなっています。カビの場合は青っぽいこともあります。

カビは害なので、周辺も含めて思い切って取り除きます。酵母は表面を削るように取り除き、樽の縁についた場合はキッチンペーパーなどで拭きとります。たまりができ、拭き取りにくい時はスプーンなどでこそぎ落としてもよく取れます。

酵母を放置すると、風味が悪くなったり、苦みが出てしまう事もある為、できるだけ取るようにします。取り除いた後、焼酎で拭き消毒をします。

 

天地返し

カビや酵母を取り除いたら、天地返しで混ぜていきます。

その名の通り、天と地を入れ替えるよう下の方からすくうようにして混ぜます。木べらなどを使っても良いのですが、ムラにならないように手で混ぜています。食品用の手袋をしても良いです。

まだ大豆や麹の形が目立っていますが、1年後には発酵が進み、この粒も無くなり滑らかになります。この段階では、色も薄めです。これが、滑らかになっていたり、色が濃くなっていたら、発酵が早く進んでいるかもしれません。気温や湿度によって変わりますので、こういう場合は1年を待たず出来上がりにしてしまうのもひとつです。1年経つと醤油のような濃縮された味に仕上がる事があります。甘めが良ければ早めに樽出しを、濃いめが良ければ1年待ちます。また、発酵期間を決めて毎年違う味を味わうのも楽しみ方のひとつです。

 

酒粕で蓋をします

この後、カビ防止のため表面に手ぬぐいと酒粕をを使って蓋をします。

まず、手ぬぐいの半分を表面に置きます。その上に酒粕で蓋をするように広げていき、隙間ができないように埋めていきます。厚くする必要はなく厚さ1cmもあれば大丈夫です。意外と伸びがよくないので、表面が見えていたり、まだらにらないように気をつけながら広げていきます。そして、手ぬぐいのもう半分を酒粕を挟むように折ります。あとは再び塩の重しを置きます。これを3カ月毎に繰り返します。

樽は室内の風通しの良い場所に置き、湿気がこもらないよう台に載せています。発酵の具合は一定ではなく毎年違いがありますが、その年の味噌が出来上がります。

 

 

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手作り味噌生活02 はじめての仕込み

 

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木樽が届いた時のこと

2011年 注文した樽が届いたのは2週間後。店主が状態が悪いと言ってたように、お世辞にも良いとは言えない状態でした。埃やチリに覆われ、乾燥で緩んだタガの調子も気になります。

手っ取り早くお風呂の水に浸ければ良いのでしょうが乾燥した木樽が水を吸う事を考えるとためらいがあります。少し時間と手間はかかりますが、清潔なたらいに水を入れて浸すことにました。

を含むとタガもしっかり締りゆがみのない木樽となりました。香りも立ちどのように働いてくれるのか楽しみになりました。

 

初めての仕込みの日

大豆、塩、麹の注文先は決めていたので、樽が揃って準備完了です。

仕込みは、カビや酵母菌が増えにくい大寒あたりが理想のようですが、季節に関係なく作る事もでき、大寒前後に仕込むと甘味のあるまろやかな味になり、春先に仕込むと発酵が進み尖った味になります。好みに合わせて決めても良いかもしれません。

心配なのは、気温の上昇で発酵ではなく腐敗にならないかというです。初めてなので大寒前後で仕込むことに決めました。

 

大豆を中鍋に分けて煮る

まずは大豆です。一晩水に浸した後に煮ていきます。煮始めは大豆が水を吸う為、水をつぎ足しつぎ足し煮ていきます。焦がさないように注意して5~6時間かけて煮ていきます。

豆が指で潰せるまで煮えたら、大豆が冷めないうちに潰し、人肌のうちに塩を混ぜた麹を混ぜます。

大寒の時期には直ぐに冷めてしまうので、タイミングをみて鍋を温め直しながら、出来るだけ温度を下げないように潰します。その為、鍋は大鍋1つよりも中鍋で2,3個に分けた方が扱いやすいです。温め直している間も潰す作業が止まらずに済みます。

 

ミートミンサーと足マット

大豆が指で簡単に潰せるようになるまで煮えたら、ミートミンサーで潰していきます。ミートミンサーはソーセージ作りでミンチを作る道具すが、豆も同じように潰せます。ここからが、仕込みの山場です。

作り始めの頃は、お手本通りに布巾に包み麺棒で潰していました。座りながらでは潰しにくいので、ほぼ立ち仕事になります。体力的にもきついのですが、時間もかかり、このままでは樽を増やすこともできそうになかったので、3年後にミートミンサーを使うことにしました。

麺棒と比べると、仕上がりに少し粗さはありますが、心配だった発酵も問題なく出来ました。今では、無くてはならない道具のひとつです。

そして、もう一つ大事なのは、足元です。ほぼ、立ちっぱなしなので、想像以上に足が疲れます。

靴下を重ね履きしたり、スリッパを低反発するなど試してみましたが、ヨガマットを敷くことに落ち着きました。立ち仕事専用のマットも売られていますが、値段が高めなので諦めました。ヨガマットは、今も使い続けています。

 

樽詰め

大豆を潰す山場を越えたら、あと一息です。

塩を混ぜた麹と潰した大豆を合わせます。この時は衣装ケースを使っています。押し入れサイズのケースで、大きさや深さがちょうどいいです。よく洗い消毒をしたケースで大豆と麹をムラにならないように良く混ぜます。専用のたらいなどを用意するのもいいですが、ケースを使えば物を増やさずに済みます。

大豆と麹を混ぜ合わせたら、大豆ボールを作ります。おむすびよりもやや大きいサイズに握ります。できるだけ大きさを合わせますが、厳密でなくてもで大丈夫です。

全部ボールにしたら、いよいよ樽詰めです。ボールを樽底に強く投げ入れます。潰れるくらい強めに投げ、潰れたボールとボールの間を次の大豆ボールで埋めるようにしていきます。

入れ終えたら平にならし、表面に一握り分腐敗防止の塩をまぶします。表面を手ぬぐいで覆い、塩を入れたポリ袋をの樽の間に隙間ができないように載せ、重しにします。仕込みの完成です。

風通しの良い日陰に置いておきます。置き場所は床に直置きよりも高くして樽底にも空気を通すことを意識すると良いです。カビが生えにくくなります。

 

 

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手作り味噌生活01 材料と木樽

簡単がいい

2011年、当り前のように食べていたものがスーパーの棚から消え、危機感を感じた人も多いと思います。この時ほど食べ物を手作りできたらと強く思った事はありませんでした。

家庭菜園もいいのですが、わが家の環境では中々難しく、他に長期保存が効き、冷蔵しなくてもいい食品は何があるか。

醤油、みりん、味噌、どれも調味料になってしまいますが、味噌は高山名物ほうば味噌のように主役にもなり、仕込みさえすれば放置して出来るようです。それなら自分にもできそうなので、作ってみることにしました。

 

2011年 まずは材料探しから

まずは、味噌作りのための材料探しを始めました。

せっかく手作りなのだから、自分好みにこだわり、材料の大豆、麹、塩は九州の味噌屋さんから取り寄せました。

この味噌屋さんは、大豆は無農薬の九州産、塩は平窯で精製したものを使い味噌を製造しています。家庭用に材料の販売もされていたので、こちらで購入することに決めました。麹は冷凍されて届き1週間以内に使わないといけないので、発注のタイミングは注意です。

 

樽のこと

一番こだわったのは樽です。

ついつい簡単に手に入るプラスチックの漬物樽になりがちですが、樽には味噌の発酵に欠かせない麹菌や乳酸菌がつきます。昔ながらの木樽を探す事にしました。値段は高めですが、ずっと使い続けるものなので思い切りました。

樽探しのこだわりは3つ。接着剤を使っていないこと、釘を使っていないこと、タガにプラスチックを使っていないことです。元は使わずに作られていたので、そこにこだわりました。

接着剤を使っていない樽は、商品説明に書かれていることが多く、すぐにみつかります。難しいのは釘を使っていない樽です。商品説明には書かれていなことがほとんどです。写真をひきのばしたり、問い合わせをして確認しました。震災から間もなかったこともあり、売り切れや受注生産が多く、すぐに手に入れたかったので樽探しには骨が折れました。

ようやくネットからみつけた樽屋さんは、倉庫に長く保管されていて状態の良い物ではないけれど、と前置きをしつつ送ってくださりました。

こうして、釘無し、接着剤無し、竹製のタガの桧の樽をいよいよ手に入れることができたのです。

 

 

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